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技術情報 技術説明

技術情報

接着力(Adhesion Strength)

押込み試験と接着力の関係
押込み試験は基板上に薄いフィルム(コーティング)層を持つ複合材料の機械的な特性性を評価できる方法です。フィルムと基板間の接着強度は押込み硬度の変化を通じて定量化できます。
押込み深さをフィルム厚さの約1/10に維持すると基板の影響を最小化し、フィルム自体の硬度を正確に評価できます。逆に、押込み深さがフィルム厚さの1/10を超えると基板とフィルムの両方が変形し、接着界面の特性が変形応答に影響を与えます。
1界面の拘束効果

接着力が弱い場合: フィルムと基板は押込み荷重に独立して反応し、界面でひずみ不連続が発生します。このため荷重-変位曲線で急激な変化が現れます。

接着力が強い場合: 接着力が強いとひずみが連続的に分布し、追加塑性変形エネルギーが必要で複合硬度が増加します。接着力が強いほどフィルム変形が基板により拘束され、界面に圧縮応力が誘導されます。

界面の拘束効果
2界面圧縮応力と接着力の相関関係

フィルムと基板の境界で発生する圧縮応力は接着強度を示す重要な指標です。高い圧縮応力は強い機械的または化学的結合を意味し、剥離の可能性を減らして構造的一体性を強化します。接着力が大きいほど同じ押込み深さを作るのに高い荷重が必要で、これは押込み試験で接着強度を評価する基準となります。

界面圧縮応力と接着力の相関関係
3押込み荷重分析による接着力の定量化

設定した押込み深さを達成するための荷重が複合硬度と接着強度を評価する基準となります。
接着力が強い複合体は同じ深さで押込むためにより高い荷重が必要で、これにより接着力を定量化できます。

硬いフィルム: 硬いフィルムの接着力はスクラッチ法で評価し、柔らかい基板上に硬いフィルムが付着している場合IITと類似した傾向を示します。

柔らかいフィルム: 柔らかいフィルムの場合、スクラッチ試験中にフィルムが変形しやすいため、Pull-off試験を併用して接着力を評価できます。押込み試験結果とも類似した傾向を示します。

押込み試験法の長所
簡便な試験

特別な装置なしで単一押込み試験で接着力を評価できます。

再現性

接着力変化に応じて押込み荷重を精密に区分して再現性のある結果を提供します。

正確な評価位置

スクラッチ法と異なり単一押込みで特定位置の接着力を評価でき、
マッピングでフィルム位置ごとの接着力分布を確認できます。

多様なフィルムに適用可能

硬いフィルムと柔らかいフィルムの両方に活用できます。

非破壊試験

局所的に押込み荷重を調整し全体フィルム状態を損傷せずに試験できます。

リアルタイム工程評価

リアルタイムで工程中の接着力変化を評価できます。